覚え書き

清水恵み

Manli Kin - Performance Troupe TAIHEN

「子供を作ることには、世間に人質を取られているような、借りを作ってしまったような、後ろめたさがついてまわる。 子供を持つことで、人は保守的になる。 自分の子さえよければいい、というエゴイスティックな感情も沸き起こる。 私は、人にそんな感情を起こさせる子育てというものは、社会悪だとさえ思っていたのだ。」

「舞台も子供も、けっきょくは私が産み出してしまったものなんだ、ということに、、、、 私が私として生きるために必要で、そのために紡ぎ出してしまったもの。そのこと自体には、良いとか悪いとかの注釈をつけようのないこと。」

「しかし、赤ちゃんは、生まれて三ヶ月ぐらいまでは、とても神々しい。こちらの世界とあちらの世界を行ったり来たりしているようなところがある。 そのころまではまだ神経が体全体に行き届いてなくて、動きがぎくしゃくしていたり、緩慢だったりと、とても障害者に近い。 それが月日が経つにつれ、神経が隅々まで行き届いてくるのがわかる。そうしてはっきりとこの世に落ち着き、人間となるようだ。」

”生きることのはじまり" 金満里 筑摩書房 ISBN4-480-04203-2

劇団態変 http://www.ne.jp/asahi/imaju/taihen/