覚え書き

清水恵み

赤黒い花

この怒りをどこで蓄えたのだろう

気づけば腹に満ちていたのだ

膝から見上げる猫の金目銀目

無理に名前をつけられぬ

 

飛べないおもりのような

理不尽につぶされる直前のカエルのような

潰されたカマキリの腹からまろび出る回虫のような

跳ねくりまくるる釣り上げられた魚のような

 

しとどに私を濡らしたのだ

それは地へと縛り付けるメスの血だ