覚え書き

清水恵み

ニュースより

フランス文学者で筑波大学の竹本忠雄名誉教授(78)は「大震災の被害そのものはいかに甚大、悲惨であろうとも日本人の忍耐と英知によって必ず克服されるだろう。外国の援助もあるだろう。だが、精神の立ち直りはわれわれ自身によってしかできない」とし、65年前の国難であった敗戦後の体験を話した。

 「東京の下町は大空襲で焼け野原となった。みんなで神社を再建し祭りを行った。着る物もなくふんどし一丁の男たちが境内に勢ぞろいし、戦災孤児たちと黒山の人垣を作って気勢を上げた。戦後の復興は紛れもなくあそこから始まった」

 そのときの色あせた写真は、現在も社殿に誇らかに飾られているという。

産経ニュース 2011年4月10日「喪失 大震災から1ヵ月」より